こんにちわ!ひちです(^^♪
今日は、「Michi」「の」「怪物園」など美しい絵本が話題のjunaidaさんの新刊「街どろぼう」をご紹介たいと思います。
「街どろぼう」情報
作:junaida
出版社:福音館書店
価格:1500円(税抜)
対象年齢:小学校低学年〜
出版年月日:2021年7月
あらすじ
ほしいものが、あった。
山の上に巨人がひとりきりで住んでいました。ある晩、ふもとの街におりていき、一軒の家をこっそり持ち帰るのですが……。『Michi』『の』『怪物園』のjunaidaが送る、巨人の小さな物語。
感想(ネタバレあり)
まず、20×15cmと小ぶりながらも、裏面はクロス張りされており、箔押しされた背表紙など、オシャレで高級感のある装丁がとても綺麗で印象的です。
そして表紙がとても素敵ですよね♪青を基調としたイラストで、巨人がたくさんの家を抱えています。
junaidaさんのヨーロッパ調の家や街の絵が大好きなので、今回の絵本「街どろぼう」は見た瞬間「買うしかない!」と思いました。笑
今回の絵本は、山の上で住む1人の巨人が主人公です。
巨人は、家族も友達もおらず、長い間たった1人で暮らしていました。
ある日、巨人は寂しさから、山を降り、街から1軒の家を持ち帰ってきました。
そして家の人に「これからはここでいっしょにくらしましょう」と言います。
ところが盗んできた家の住人に、「私たちだけでは寂しいので、親戚の家もここへ持ってきてくれませんか」と頼まれます。
これ、急に住人が言い出したわけではないんですよね。巨人は急に連れてきた家の人に自分のそばに居てもらう代わりに、「ほしいものがあったら なんでもあげますから」と言ったんです。「何でもあげるから、自分のそばに居てほしい」という巨人の不器用な思いがとても痛々しいです。
巨人は盗んだ家の人に言われた通り、親戚の家を盗んできます。
そして、親戚には友達の家を頼まれ、友達には、街のお店やさんを頼まれ・・・・と、あれこれ持ち帰るうちに、最後は山の麓の街がそっくりそのまま山上にできあがります。
まぁ「こんな感じにはなるんだろうなぁ」とは読みながら想像できていました。ただ、これで街の人と巨人が仲良くなってハッピーエンドかと思いきや、巨人の表情は冴えません。
これまで1人きりで孤独を感じていたので、人が増えれば孤独感は消えると思いきや、孤独感は変わりません。なぜか気持ちはひとりぼっちのままです。
巨人は、一緒にごはんを食べる人や話し相手が欲しかったのです。誰かと一緒に暮らしたかったのです。
街を丸ごと盗んできたことで、巨人の周りにはたくさんの人たちが賑やかに暮らすようになりましたが、人々は元のコミュニティの中で暮らしており、まるで誰も巨人のことが見えていないかのようです。(この巨人の描写がツライ。泣)
群衆の中で感じる孤独の方が辛いというのは、皆さんも感じたことがあるのではないでしょうか?
巨人はひとり、山を降りることにしました。
街のあった山のふもとは、すっかり空っぽになっていましたが、1軒の家だけが残されていました。(朝焼けにポツンと1軒たたずむイラストがたまらなく好き!是非見てもらいたい!)
その家には少年が1人きりで暮らしていました。
そう、この少年は街の誰からも呼ばれなかったのです。
巨人と少年は、それから2人仲良くずっと一緒に暮らしました。巨人と少年が仲良く海辺で過ごしているイラストで物語は終わります。
同じ孤独を感じるもの同士通じ合うものがあったのでしょうね。巨人にも少年にも、お互い心許せる相手ができて本当に良かったです。
なんで少年が1人?両親は?家族は!?と、気にならなかったかと言えば嘘になりますが、この子に対する社会支援は?近所の人は誰も気にかけなかったの?など考えると、絵本の素敵なストーリーから逸れてしまうので、そういうことは考えずに読まれることをオススメします。笑
個人的には少年ではなく、1人きりのおじいさんなんてのもアリかな?と思いますが、最後の2人でのんびり楽しそうに過ごしているイラストは、やはり少年ならではかなと思います。巨人と少年の今後の新たな物語も想像膨らむ終わり方がよかったです。
人は一人では生きていけません。誰かと共有したり、感じたり繋がりあうことで、人生が彩られるのではないかな?と思います。
さいごに
junaida さんの新作絵本「街どろぼう」はいかがでしたか?
小ぶりでオシャレで、少し大人向けの絵本かな?と思います。高級感もあるので、プレゼントにもいいと思います。
ストーリーも巨人の感じる孤独に、共感できる人は多いと思います。おすすめの絵本ですので、ぜひ読んでみてください(^^)